2013年11月9日土曜日

Vim Advent Calendar 337日目:「バトルエディターズ 第三話:宿命の対決」

※:この投稿には暗黒美夢王成分が大量に含まれています。ネタをネタと分かる人だけが読んでください。実在する人物・団体・テキストエディタ・アニメとは一切の関係がございません。

クックック……。我の名は暗黒美夢王だ。宿主であるShougoには、しばらくの間眠っていもらっている。これは Vim Advent Calendar の第337日目である。次回はmittan氏の「MacのVimで通知センターを使う」だ。Vimmerならフォローしておくように。

さて、今回はVACでバトルエディターズの第三話を発表することにした。本当はVACの一部ではなく、普通にこのブログ内で発表する予定だったのだが、欠番となった337日目を書く者が誰もいないと聞いたので、急遽我が代役として記事を書くことになったのだ。「純粋な」Vimの記事を期待したものにはいささか期待はずれかもしれんが、正式な記事(344日目)は本日manga_osyo氏が書いてくれることだろう。

第一話第二話の復習は済ませたか? 狂気の世界の始まりといこう……。

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編集王(エディットキング) バトルエディターズ
第3話:宿命の対決

注意:この物語はフィクションです。実在する人物・団体・ソフトウェア・テキストエ
ディタとは一切の関係がありません。宗教論争をする意図もありません。

注意:この物語を読んだところで、テキストエディタの知識が付くわけがありません。
物語中に存在するテキストエディタのネタはオマージュ程度であり、知っている人がほ
くそ笑む程度のものです。期待しないようにしましょう。

注意:この物語は皆の反応を見るためのテスト版であり未完成です。話の内容は予告な
く変更される可能性があります。

「ルールを守って楽しくエディット!」

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Scene 1
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「修君、昨日の Vim エディタについて、先生に詳しい話を聞かせてもらえるだろう
か?」

僕は登校そうそう、海(かい)先生に呼び出されていた。

「な、なんの話でしょうか……」

「とぼけても無駄だよ。私も含めて、みんな見ているんだ」

さっぱり分からないが、僕が Vim を持っていることがバレてしまっているらしい。
どうすれば……。

「とにかく、一度ディスクの中身を確認させてもらうよ。変なソフトウェアが仕込まれ
ていてはいけないからね」

ほとんど無理矢理に僕のディスクがスキャンされていく。ただ、先生はスキャン結果を
見ながら首を捻っていた。

「うーーーん、おかしいな。特に変なデータはない……。私の見間違いだったのだろう
か。うむ、教室に戻っていいぞ」

「では、失礼します……」


「んで、修どうだったのよ」

僕の元に現れたのは来夢ちゃんだった。よく分からないけれど、ずいぶんと僕に絡んで
くるようになった気がする。僕は彼女になにかしただろうか。記憶がないんだよなぁ。

「僕が Vim を持っているんじゃないかってさ。まあでも見つからなかったんで、早々に
終わったよ」

実は持っているわけなんだけどね。なんで見つからなかったんだろう。
そのおかげで僕は助かったわけだけど。

「Vim が見つからなかったの。そう。それは不思議ね……」

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Scene 2
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「さーて、今日こそは早く家に帰って Vim を愛でる作業に戻るぞー」

このまま学校に残っていたら、何をされるか分からないからね。昨日はできなかった、
Vim にあんなことや、そんなことを……。

僕を帰宅途中の生徒達が遠巻きに眺めている。いかんいかん。
このままでは、皆から僕はテキストエディタで妄想する変態に思われてしまう。

「なんだろ、これ」

靴箱の中に何か入っている。確認してみるとそれは手紙のようであった。

『昨日のエディット拝見しました。ぜひ、放課後校舎裏に来てください。話したいこと
があります by あなたの永遠のライバル』

「まさか……これはラブ・レター!」
なんということだ。学生時代における伝説のアイテム。実際に存在したというの
か……。Vim を手に入れてから僕は運が向いてきたようだ。
テキストエディタだけじゃなくて彼女までゲットするだなんて。ぐへへ。
『まったく、テキストエディタではなく女にうつつを抜かしおって……』

「ん、誰の声だろ……誰もいないか」

僕はそのまま校舎裏へと急ぐのだった。そこで待っていたのは、

「ようやく来たか……我が永遠のライバル」

「誰、キミ。僕は女の子に呼び出されて……」

「それを出したのはこの俺だ。俺の名前は楠崎遠馬(くすざきえんま)。覚えておけ」

「なん……だって? 僕の純情を返せよ、うわーん」

「ごちゃごちゃうるさい奴だな。嘘は言っていないぞ。『昨日のエディットを見てい
た』から俺はお前に興味を持った。Emacs 使いという Vim の永遠のライバルが、校舎裏
に呼び出したのだ。要件は一つしかなかろう。早く俺とエディットをしろ」

「た、確かに言われてみるとそうかもしれないけど、僕の純情を弄ぶなんて許さない
ぞ。勝負だ!」

Vimを手に入れた僕に怖いものなんてない。怒りに任せて勝利を挑む。

遠馬:EP 4000 メモリ 4/8 メインエディタ Emacs
修:EP 4000 メモリ 4/8 メインエディタ vi

「「編集(エディット)!」」

「あれ、Vimが見当たらない。なんで代わりに vi を実行していることになっているん
だ?」
「Vim の代わりに vi とは、俺も舐められたものだな」

「ちょ、待って、違うんだ。ぐわーー」

遠馬:EP 3000 メモリ 7/8 メインエディタ Emacs
修:EP 0 メモリ 5/8 メインエディタ vi

「ぐはぁ……。つ、強い」

僕は彼に全然歯が立たなかった。初めて Emacs とエディットしてみたけど、こんなに強
いだなんて。

「全く、他愛もないものだ。本当にコイツが昨日 Sublime 使いを破ったというのか?」
vi では俺に敵わないことは分かっただろう。そろそろお前の Vimを見せてみろ」

「実行したいんだけど、実行できないんだよ。ぐふっ」

『全く、我の契約者ともあろう者がふがいないものだな』
「誰だよ君は……」
『我の名は暗黒美夢王(ダークビムマスター)。後は我に任せて眠っておけ』
「暗黒美夢王……? もう、眠くてなにも考え……」

そして、僕の意識はまた闇へと堕ちるのだった。

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Scene 3
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宿主と交代で我の意識が覚醒する。

「ふあーぁ。さすがにまだ寝たりないな」

「なんだ、こいつは……」

「ほう、お前が宿主をコテンパンにしていたのだな」

「さっきとは雰囲気が違う。噂通りか、ようやく出て来たな Vim 使いよ」

「我を待っていたのか。モテる男はつらいものだ。どうせならテキストエディタにモテ
たいところであるが」

「俺の名前は楠崎遠馬。そこの Vim 使い、Emacs の使い手である俺と勝負しろ!」

「正直、Emacsとのエディットはとうの昔に飽きている。我としてはピチピチの新しいエ
ディタとエディットしたいものだ。クックック……」

「気持ち悪いやつだな」

「どうしても我とエディットしたいというのなら一つ問おう」

「何だと?」

「簡単なことだ。お前にとってテキストエディタは何だ」
これは我にとって重要な質問である。さて、何と答えるのだろうか。

「テキストエディタか。何を聞くかと思えば下らないな」

「いいから答えてみろ。返答次第ではお望みどおり勝負してやってもよい」

「フン、テキストエディタは俺にとってただの道具にすぎない。Emacs は単純に俺の編
集速度に付いてこれたから使ってやっているだけだ。俺はテキストエディタを使って世
界を支配する。そのためにはまず、Vimの後継者というお前をエディタバトルで破る必
要が……」

「クックック……フハハハハ!」

「何がおかしい」

「もう十分だ。お前は我に『怒り』というイベント名の autocmd を発動させてしまった
(お前は私を怒らせた)ようだ。当然、我はこれをハンドルするわけだが、覚悟はで
きているだろうな」

遂に我を本気で怒らせるものが現れたらしい。これほどの回答があるとは。クックッ
ク、これは胸が踊る。

「何を言っているのかさっぱり分からん。勝負するのかしないのか、ハッキリしてもら
おう」

「我が名は暗黒美夢王(ダークビムマスター)だ、覚えておけ。さっきの台詞聞こえてい
たぞ、Emacs使い。Vim使いである我との勝負を望んでいるのであろう? 良いだろう。
受けてやる」

「フ、フン。まぁ良い。この俺にお前の力を見せてみろ。俺の Emacs で貴様のエディタ
を叩きのめすぜ」

「さあ、エディット・タイムだ!」

両者、再度エディタディスクを構える。

「エディタディスク セット!」
「メインエディタ 実行開始!」

「Vim 実行」
「Emacs 実行」

「AR モニター リンク完了!」
「「編集(エディット)!」」

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Scene 4
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- TURN 1 -

遠馬:EP 4000 メモリ 4/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 4000 メモリ 4/8 メインエディタ Vim

Emacs 戦闘力 0
Vim 戦闘力 1000

「Emacs は他のエディタと異なり、エディタの基本戦闘力が 0 だ。ただし……Emacs が
実行されたことにより、Emacs の機能が自動で適用される。プラグイン『el-package』
をディスクから自動でインストールする。『パッケージ・イニシャライゼーション!』」
「何だと……。最近のEmacsにはこんな機能が付いていたのか。面白い」
「プラグインがインストールされたことにより、Emacs の戦闘力は 800 アップ!」

Emacs 戦闘力 0 → 800

遠馬:EP 4000 メモリ 5/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 4000 メモリ 4/8 メインエディタ Vim

「先攻は我が貰う。我のターン、ロード!」
「我はプラグイン『neo-snippet』を Vim にインストール! さらに neo-snippet の機能
を適用。EP を 500 支払うことで、メモリ上に neo-snippet トークンをプラグイン扱い
でエディタにインストールする。『ネオ・スニペット・エキスパンション!』」

Vim 戦闘力 1000 → 1500 → 2000

「先攻は最初のターン攻撃できない。ターンエンドだ」

「ほう、それが噂に聞く neo シリーズのプラグインだな。俺のターン!」

遠馬:EP 4000 メモリ 5/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 3500 メモリ 6/8 メインエディタ Vim

「俺はロードをスキップし、 Emacs に標準でインストールされているプラグイン
『el-package』の機能を適用する! 『パッケージ・インストレーション!』」

「el-package の機能により、俺はディスクからプラグインをランダムで一つ Emacs に
インストールすることができる。俺がインストールするのは『el-popup』。プラグイン
がインストールされたことにより、Emacs の戦闘力は 800 アップ!」

Emacs 戦闘力 800 → 1600

遠馬:EP 4000 メモリ 6/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 3500 メモリ 6/8 メインエディタ Vim

「後攻はすぐに攻撃が可能だが、エディタの戦闘力が満たない。俺はここでターンを終
了する。命拾いしたな」

- TURN 2 -

「我のターン、ロード! 我はプラグイン『neo-interface』を Vim にインストールす
る。このプラグインは秘められた機能を持つが、このプラグインは起動が
遅いので、インストールされたターンは機能を適用できない」

遠馬:EP 4000 メモリ 6/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 3500 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

Vim 戦闘力 2000 → 2500

「だが、これで Vim の戦闘力は十分増加した。Vim で Emacs に対してバトル!」
「ぐぅ……。この俺が先に攻撃を受けるとは」

遠馬:EP 3100 メモリ 6/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 3500 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

「我はこれでターンを終了する。さあどうする? Emacs 使い」

「俺の名前は遠馬だ。覚えておけ。el-package の機能により、俺はディスクからプラグ
インをランダムで一つ Emacs にインストール! 俺がインストールするのは
『el-complete』。プラグインがインストールされたことにより、Emacs の戦闘力は 800
アップ!」

Emacs 戦闘力 1600 → 2400

「しかし、我の Vim のほうが戦闘力が上だ」

「それはどうかな。『el-popup』と『el-complete』の二つがメモリ上に存在
することで、俺は『el-complete』の効果を適用する! このターン、Emacs
の戦闘力を 1.5 倍にする。『オート・ポップアップ・コンプリション』」

「なんだと……?」

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|el-complete:プラグイン・Emacs
|このプラグインは Emacs にのみインストールすることができる。
|機能『オート・ポップアップ・コンプリション』 この機能は『el-popup』がエディタ
|にインストールされている場合のみ適用可能である。このターン終了まで、このプラグ
|インをインストールしたテキストエディタの戦闘力は1.5倍となる。この機能は1 ター
|ンに一度のみ適用可能である。
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Emacs 戦闘力 2400 → 3600

「戦闘力 3600 か。さすがにやるものだな」

「Emacs で Vim にバトル!」

「くぅ……」

「俺はここでターンを終了する。Emacs の戦闘力は元に戻る」

Emacs 戦闘力 3600 → 2400

- TURN 3 -

遠馬:EP 3100 メモリ 7/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 2400 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

「我のターン、ロード。我は『neo-interface』の機能を適用する! 自分の
メモリ上のコマンドを Vim プラグイン扱いでインストールする。『ネオ・イ
ンタフェース・インテグレーション!』」

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|neo-interface:プラグイン・Vim
|このプラグインは Vim にのみインストールすることができる。
|機能『ネオ・インタフェース・インテグレーション』 自分のメモリ上にある未実行の
|任意のコマンドをVim プラグイン扱いで Vim にインストールする。インストールした
|コマンドは実行できない。コマンドの機能はそのまま適用できるが、コマンドの機能を
|適用した場合、コマンドをトラッシュに送る。この機能はインストールしたターンには
|適用できず、1 ターンに一度のみ適用可能である。このプラグインがトラッシュに送ら
|れる場合、この機能でインストールされたプラグインをトラッシュに送る。
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Vim 戦闘力 2500 → 3000

遠馬:EP 2200 メモリ 7/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 2400 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

「俺のターンだ。el-package の機能により、俺はディスクからプラグインをランダムで
一つ Emacs にインストール! ここで Emacs の戦闘力が更に 800 アップ」

Emacs 戦闘力 2400 → 3200

「俺はさらにここで、特殊コマンド『インスタント・プラグイン』の機能を適用する!
このターンにインストールしたプラグインの機能を無効にすることで、プラグイントーク
ンをエディタにインストールする」

遠馬:EP 2200 メモリ 8/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 2400 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

Emacs 戦闘力 3200 → 4000

「まだだ! ここで俺は『el-complete』の効果を適用する! このターン、Emacs
の戦闘力を 1.5 倍にする。『オート・ポップアップ・コンプリション』」

Emacs 戦闘力 4000 → 6000
Vim 戦闘力 3000

「Emacs は Vim にバトル!」

「くっ、これが通れば負ける……」
我の Vim を Emacs の一撃が襲う!

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Scene 5
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「ここまでだな、Vim 使い。いくら Vim といえども Emacs には勝てないのだ。これは
今までの歴史が証明して……」

遠馬:EP 2200 メモリ 7/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 900 メモリ 6/8 メインエディタ Vim

「なん…だと?」

「ふう、危ないところだったな。我はさっきの攻撃の瞬間、特殊コマンド『テキストエ
ディタを、あきらめない』を適用していた! 我とテキストエディタは深い絆で結ばれて
いる。たとえ何があろうともテキストエディタを諦めない、それが我のポリシーだ。
『ネバーギブアップ・エディタ!』」

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|テキストエディタを、あきらめない:特殊コマンド・速攻(クイック)
|機能『ネバーギブアップ・エディタ』 このターン受けるダメージを半分にし、エディ
|タが受けたダメージの半分をエディタの戦闘力に加える。このコマンドの機能は相手の
|ターンでも適用できる。
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Vim 戦闘力 3000 → 3750

「戦闘力も上がって……くっ。ここでターンエンドだ」

Emacs 戦闘力 4000

- TURN 4 -

「我のターン、ロード。我は再度 neo-interface の機能を適用する。これに
より、Vim の戦闘力は 500 ポイントアップ!」

Vim 戦闘力 3750 → 4250

遠馬:EP 1950 メモリ 8/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 900 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

「前のターンはうまくかわされたが、今度こそお前の最後だ! 俺のターン、ロード」

「フン、お前のメモリをよく見てみろ。ロードするべきメモリは既に埋まっている。メ
モリが一杯の状態でロードした場合、メモリに入りきらないコマンドはランダムで破壊
される。さて、何のコマンドが破壊されるかな?」

「俺の el-complete が!」

Emacs 戦闘力 4000

「おっと残念、君の『el-complete』はトラッシュに送られてしまったようだ。これでは
自慢の補完機能が使えないな」

「くっ……。計画が崩れたか。だがまだ手はある。俺は、プラグイン
『el-file』の機能を適用する。EP を 500 支払うことで、メモリ上のコマ
ンドを Emacs プラグイン扱いとしてインストールする。『イーマックス・ファイル・オ
ペレーション!』」

遠馬:EP 1450 メモリ 8/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 900 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

Emacs 戦闘力 4000 → 4800

「Emacs で Vim にバトル!」

「ぐぅううう」

遠馬:EP 1450 メモリ 8/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 350 メモリ 7/8 メインエディタ Vim

「少し残ったか。だが、もはやお前のエディタはクラッシュ寸前。次の俺のターンがお
前の最後だ!」

- TURN 5 -

「それはどうかな。我を仕留め損なったことをお前は後悔することになるだろう。だ
が、さすがは Emacs 使いだ。我をここまで追いつめるとは。我に本気を出させたこと、
光栄に思うがよい!」

「何、今までは手を抜いていたというのか」

我の手に光が宿る。今こそ、あのコマンドをロードする時。

「これこそが我の本気のロードだ。一流のエディタ使いのエディットは全てが必然。
ロードするコマンドすらこの手で創造する。シャイニング・ロード!」
「なん……だと? インチキロードもいい加減にしろ!」

遠馬:EP 1450 メモリ 8/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 350 メモリ 8/8 メインエディタ Vim

「我が創造(ロード)したのは、特殊コマンド『neoの覚醒』。『neoの覚醒』の機能を我
が Vim に適用する。Vimは真(ネオ)の力によって新たな進化を遂げる。覚醒せよ、『ネ
オ・ビム・エグゼキューション!』」

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|neo の覚醒:特殊コマンド
|機能『ネオ・ビム・エグゼキューション』 3 つ以上の『neo』と名の付くプラグイン
|をインストールした Vim をトラッシュに送り、『neo-Vim』をエクストラディスクより
|特殊実行する。
 -------------------------------------------------------------------------------

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|neo-Vim:エディタ 基本戦闘力 1000
|このコマンドは直接実行できない。『neoの覚醒』の機能によってのみ実行することが
|できる。このエディタはVimとしても扱う。
|機能『???』
|Vimがneo(真)の力を引き出すことによって生まれた新たなエディタ。neo のプラグイン
|と組み合わせることでその真価を発揮する。
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neo-Vim 戦闘力 4750

「neo-Vim の機能を適用。このコマンドは neo と名のつくインストールされたプラグイ
ン x 800 ポイント戦闘力を上げる。既にインストールされた neo という名のプラグイ
ンは 3 つ。よって、900 ポイントアップ!」

Vim 戦闘力 4750 → 5650

「戦闘力が俺の Emacs を上回ったか。だが、この程度なら次のターンさえくれば……」

「クックック……。お前は次のターンが本当にあると信じているのか? 我はさらに、
neo-Vim のもう一つの機能を適用。このコマンドにインストールされた、neo-と名の付
くプラグインは新たな機能が追加される。これがプラグインの真(ネオ)の力だ。『ネ
オ・エボリューション!』」

「コマンドの機能解説文が書き換えられるだと? そんな機能があるはずが……。まさ
かお前は伝説の創造主(クリエータ)だというのか」

「我は覚醒した neo-interface の真の機能を適用する。メモリ上のコマンドを Vim
plugin 扱いで neo-Vim にインストールする。我が選択するのはお前のメモリ上の
『el-popup』だ。『ネオ・コンバージョン!』 」

 -------------------------------------------------------------------------------
|neo-interface:プラグイン・Vim
|このコマンドは「neo-Vim」上にインストールされている場合、次の機能が実装される。
|機能『ネオ・コンバージョン』
|相手のメモリを含むメモリ上の全てのコマンドの中から一つを neo-Vim にインストー
|ルする。そのコマンドは Vim plugin として扱う。機能も通常通り適用できるが、機能
|を適用した場合にはコマンドはトラッシュに送られる。この機能によりインストールさ
|れたコマンドはこのコマンドがトラッシュに送られた場合にはトラッシュに送られる。
|この機能は 1 ターンに一度しか使用できない。
 -------------------------------------------------------------------------------

「なんだと? 俺のプラグインが Vim 使いなんぞに奪われるとは……」

neo-Vim 戦闘力 5650 → 6450
Emacs 戦闘力 4800 → 4000

「我は neo-Vim で Emacs とバトル!」
「ぐ、ぐわぁぁぁ!」

遠馬:EP 0 メモリ 8/8 メインエディタ Emacs
美夢王:EP 350 メモリ 8/8 メインエディタ neo-Vim

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Scene 6
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敗北した遠馬は地面にがくりと崩れ落ちる。

「な、なぜだ。なぜ俺が負けたんだ。Emacs を使うこの俺が最強のはずなのに」
「Emacs というエディタの特性をよく生かした プラグイン重視のディスク構成は面白
かったよ。あえていうなら、テキストエディタへの愛が足りない」
彼もある意味純粋なのかもしれない。そのベクトルは間違っていた訳だが。

「愛……だと? お前は何を言っている。テキストエディタと人間に愛なぞある訳がな
かろう。テキストエディタはただの道具であり、それ以上の存在では決してないのだ」

「我にも昔はテキストエディタが道具と考えていた時もあった。昔はな……」
おっと、つい昔話をしてしまいそうになる。それは自重しなければ。

「それはどういう……」
「気が向いたらまた勝負してやる。ではな」

我はそう返して、遠馬の元を去るのであった。彼も面白い男ではあったが、やはりまだ
ディスク構成には再考の余地がある。良きライバルとなるかもしれない彼の成長を祈る
としよう。

今日のバトルエディターズ豆知識:
バトルエディターズではプレイヤーは 1 ターンにひとつプラグインをインストールする
か単体コマンドを実行することができる。ただし、コマンドの機能による特殊実行はこ
の制約を受けない。特殊実行をうまく使いこなすのが勝利への近道となる。


(「第4話:正義のヒーロー オクセイダー!」に続く……)

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