2010年8月8日日曜日

レビュー:Emacsテクニックバイブル

ついにEmacsテクニックバイブルが発売されました。
購入者の感想を見ると、おおむね好評のようです。
しかし残念なことに、購入者の詳細なレビューがまだありません。
そこで、私がレビューすることにしました。

はじめに


まず、現在のEmacs本には大きな問題点があります。※1
Emacsはデフォルトの状態ではひどく使いにくく、プラグインをインストールして拡張するのが当たり前となっているのに、普通の本にはプラグインのインストール方法やその特徴についてほとんど触れていないのです。これにはプラグインが流行り廃りが激しく、時が経つとすぐに時代遅れになったり、新しいプラグインが出てくるという理由もあるでしょう。確かに、時が経っても有用性を保っている「入門 GNU Emacs 第三版」のような本は必要です。しかし、世の中にあるのがそういう表面をなでただけの本ばかりでは、初心者がいざ本格的にEmacsを使おうとしたときに挫折することは目に見えています。Software Design紙で連載されている「Emacsのトラノマキ」が好評であるように、現在には現在なりのEmacsの使い方があるのです。私は以前からそう言う本が必要だと考えていて、「るびきちさんがそう言う本を書いてくれるといいな」と妄想していたんですが、最近になって「Emacsテクニックバイブル」を執筆中だということで、自分の妄想が現実になり、大変驚いています。

内容について


内容については、「今までのるびきちさんのブログに書いてあったことをまとめた」というのが適切です。
るびきちさんのブログをよくチェックしている人には、あまり目新しい情報がないかもしれません。しかし、「今までばらばらだった情報がまとまっている」ことに大きな価値があります。
特に秀逸なのは後半2章のanything.el特集です。anything.elに関する情報が適切にまとまっています。
私は現在Vimにおけるanything環境として、unite.vimを開発中です。Emacsテクニックバイブルの購入理由も、「もっとanything.elを勉強して、unite.vimの開発に役立てたい」ということだったのですが、期待以上の出来だったので満足しています。
難点なのは一部のプラグインを除き、一つ一つのプラグインの解説は1ページ~2ページ程度と少ないことです。これはページ数の関係でやむを得ないことだったのでしょう。私としては、多少値段が上がっても良いから、もっとページを割いて欲しかったのですが。特にskk(ddskk)の解説は少ないです。そこは続刊に期待しましょう。

おわりに


「Emacsテクニックバイブル」という本ですが、それぞれのVimユーザーにも勉強になります。私はぜひともVimユーザーに本書を購入してもらい、Vimの「カイゼン」に励んでもらいたいと考えています。この本に込められたテクニックの数々は、あのKanaさんの「Vimの流儀」並に有用であることでしょう。
るびきちさんによると、この本が好評ならEmacs Lispプログラミング本を出す予定があるようです。
これは期待ですね。みなさんもEmacsテクニックバイブルを購入して、るびきちさんの次回作を応援しましょう。

※1:現在のVim本にも同じ問題点があります。
Vim Hacksでその状況をある程度改善していますが。Vim Hacksが本になるときは、「Vimテクニックバイブル」になるかもしれません:-)

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